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INTERVIEWS

クルマの設計から製造までを シミュレーションシステムで支える。 シミュレーションシステムで 支える。

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TMC企画グループを牽引する2名の社員にインタビューを実施。トヨタ自動車向けのシミュレーションシステムの企画、展開を一手に担う仕事の詳細についてお伺いしました。

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木村 元気 / シミュレーションエンジニア / 2007年入社
制御・解析本部 シミュレーションサービス部
TMC(Toyota Motor Corporation)企画グループ

大学では機械システム工学を専攻。小売業界でセールスを経験後、システム開発を行う会社でエンジニアとして活躍。その後、トヨタ自動車の大規模なシミュレーションシステムに携われることに魅力を感じてトヨタシステムズに入社。トヨタ自動車への出向も経験しながら、シミュレーションシステムの企画、展開に取り組んでいる。

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野村 聡 / シミュレーションエンジニア / 2008年入社
制御・解析本部 シミュレーションサービス部
TMC(Toyota Motor Corporation)企画グループ

大学では情報システム工学専攻でシミュレーションの研究を行う。卒業後は、地元である愛知県で、自動車関係のシステム開発を行いたいという想いからトヨタシステムズに入社。システム開発の経験を活かしながら、現在はシミュレーションシステムの企画、展開に取り組んでいる。

CHAPTER 01 シミュレーションシステムを企画・展開して、
クルマの開発期間短縮やコスト削減に貢献

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まずはお二人が所属する部署の役割について教えてください。

木村 制御・解析本部の解析領域は、トヨタ自動車、及びトヨタグループ向けに、一般的にCAEと呼ばれるシミュレーションやAIシステムを手がけている本部です。その中で、システムの企画・開発・運用をそれぞれの部署に分かれて連携をしながら担当しています。

野村 シミュレーションサービス部は解析業務の中でも、シミュレーションシステムの企画、展開や大規模なシステムの維持運用をメインに担当しています。自動車の性能を確認するために実験を行うと時間やコストが膨大にかかるので、コンピューター上で部品にかかる力、振動の状態、温度など様々なシミュレーションを実施して、より良い設計案を検討する事が求められています。

その中で、お二人が所属するTMC企画グループはどのような役割を担っているのでしょうか。

木村 TMC企画グループは一言で言うと、トヨタ自動車のシミュレーションシステムの企画、展開をメインミッションとしているグループになります。自動車の設計から製造まで幅広く活用するシミュレーションシステム環境の提供を通じて、開発期間を短縮したり、製造コストを削減したりすることで、トヨタ自動車のモビリティ開発に貢献していくことが我々の役目です。

野村 やり取りするのはトヨタ自動車のモビリティ開発に携わる様々な方々です。自動車の開発過程においてシミュレーションのニーズは非常に多いので、私たちが相談窓口となり、トヨタの方々のニーズと一緒にシミュレーションシステムの企画から展開を進めていくという動き方をしています。

お二人が最近取り組んだ中で印象的なプロジェクトがあれば教えていただきたいです。

野村 現在も進行中の案件ですが、EV開発で 「ギガキャスト」という技術 が使われており 、その生産工程のシミュレーションを実用化するプロジェクトですね。ギガキャストとは、大型の鋳造設備で複数の部品を1つのパーツとして成型し、巨大な車体部品をつくる技術です。従来は50以上の部品を複数の工程で生産する必要がありましたが、ギガキャストが導入できると1部品・1工程で済みます。これによって、大幅な生産工程の削減が可能になります。

木村 すでに導入することは決まっていて対外的にも発表しています。そのため、私たちはトヨタ自動車の方々とギガキャストのシミュレーションの実用化も合わせて検討していく必要があります。

CHAPTER 02 最新技術「ギガキャスト」のシミュレーションの実用化に向き合う

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ではギガキャストの実用化プロジェクトについてお伺いさせていただきます。プロジェクト発足の背景にはどのような要素があったのでしょうか。

野村 トヨタの担当者からギガキャストのシミュレーションを実用化したいという相談をいただいたことがきっかけでプロジェクトがスタートしました。ギガキャストを導入することで、部品点数や生産工程が少なくなるという大きなメリットがありますし、トヨタのモノ作りの競争力を高める為にも重要な技術だと思います。一方で、ギガキャストでは、従来の部品より大きな部品を鋳造成形しますが、これまでそのような工程をシミュレーションした実例がないので、多くの課題への対応が必要となる難しさがあります。

プロジェクトの具体的な進め方についても教えてください。

木村 TMC企画グループではシミュレーションに関する様々なご相談に対応できるように、車両・パワートレイン・生産技術というユーザー業務領域に対して、それぞれ部署担当と呼ばれる担当者を配置しています。その担当者が相談内容を確認して、必要なスキルを持つメンバーを集めて案件がスタートします。

野村 まずは、担当者の方に具体的にどういったことがやりたいのかを細かくヒアリングしていきます。そこで具体的な仮説や検証結果を持っている場合は、その仮説が本当に効果的なものなのかどうかを一緒に議論していきます。担当者の方もその道のプロフェッショナルなので、仮説が正しい場合は、その方向でシミュレーションシステムの開発や導入を進めていきます。担当者の要望に対して、より最適な方法があると考えた場合は、こちら側から解決策のご提案をすることも多いですね。

シミュレーションの実用化をする過程において難しいと感じるポイントがあれば教えていただきたいです。

野村 シミュレーションを行うには「解析モデルの作成」「解析実行(計算)」「解析結果の評価」という3つのステップがあります。ギガキャストは従来の部品に比べ巨大な部品であるため、解析モデルのデータ量が大きくなります。データ量が大きくなると計算時間が長くなるので、従来のやり方だと開発期間に計算が間に合わない、といった問題が発生してしまいます。

データ量や計算量が増えても、コンピューターに計算させるのであれば、そこまで大変ではないように感じるのですが、そんな単純な問題ではないのでしょうか。

木村 そうですね、データ量が2倍だから計算時間が2倍になるといったような単純な話ではなく、計算時間は3乗とか4乗に増えていきますので計算の高速化が必要になります。その点は最適なハードウェアの導入だけではなく、解析モデルの工夫や計算高速化の対策をしていく必要があります。複数の対策を考える事も多いので、多様なシステム知識や経験が必要になります。

CHAPTER 03 「利用者にとって本当に必要な機能」を見極める

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ここまでお伺いしてきた「データ量や計算時間の増加」という問題によって、具体的にどのような不具合があるのでしょうか。また、解決に向けてどのような対応が必要になるのでしょうか。

木村 一番は開発スピードの問題ですね。仕事として行う以上、クルマの開発期間内にシミュレーションを完了させる必要があります。そうなるとシミュレーションの高速化や効率化などの打ち手の中で、どの対策が欲しい結果に対してクリティカルに作用するのかを見定めて、効果が薄い対策は戦略的に切り捨てていく判断が必要になります。

野村 従来からある部品のシミュレーションであれば、これまでの経験から効果的な対策が分かるのですが、ギガキャストのシミュレーションは経験のない規模感だったので、未知の部分がとにかく多く、関係者と一緒に手探りの状態であれこれ議論を重ねながらプロジェクトを進めていきました。例えるなら解決すべき課題に対して、手元に膨大なカードが用意されていて、どれとどれを組み合わせればよいのか、逆にどれとどれを組み合わせてしまうと問題が発生するのかということをトライ&エラーを繰り返しながら考えていく感じですね。今まで経験したことがない事も多くあり、そういった面での楽しさはあります。

データ量が膨大になると、シミュレーション結果の確認に影響が出るといった問題はあるのでしょうか。

木村 その問題もありますね。シミュレーション結果を画面に表示して確認をする際に、従来のシミュレーションデータだとなめらかに動くのに、ギガキャストの膨大なデータだとカクカクと遅い表示になることがしばしばありました。

野村 その場合、あらゆる方向からソリューションを検討しますね。例えば、ハードウェアのスペックを上げたり、最適なチューニングをして表示速度を調整するのも一つの手ですし、システム開発側のメンバーと連携して、プログラムを修正することもあります。例えば、シミュレーションの3Dデータを表示するとき、すべての角度で詳細に表示するとデータが重くなるので、データを回転させて表示させる際は、粗いデータにするなどの対応も行います。要は、利用者がシミュレーションに何を求めているかを把握して、そこに対して必要でない要素は極力省いていくという考え方を随所に適応しているという感じです。

CHAPTER 04 人とのつながりが信頼や成長に繋がっていく

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では、ここからは現在のお仕事をされている上で感じるやりがいについてお伺いできればと思います。

木村 人とのつながりが生まれることですね。トヨタ自動車の社員は私たちにシミュレーションシステムに関する様々な相談をしてくださいます。そのため、多くの人との新たな繫がりが生まれますし、一緒に企画や実用化を進める事で様々な技術情報を知れるのも本当に面白いポイントです。それは、私たちがトヨタのITパートナーであるという特別な立ち位置にいるという側面も大いにあります。これはトヨタシステムズだからこそ享受できる魅力でもあります。このようにして積み上げてきた知識を、別の方から頂いたご相談で提案につなげることができるので、やりがいがありますね。

野村 今回お話ししたプロジェクトのように、ご相談いただく案件の規模感が大きく、解決する課題の難易度が高いことが多いので、大変だなという思いもありつつも、やりがいを感じています。シミュレーションの分野は使用するソフトウェアの種類がとにかく多いので、常に最新の技術情報もキャッチアップしながら、利用者の課題解決にはどのようなソフトウェアの組み合わせが効果的なのかを考えることも楽しいです。

では最後にお二人の今後の目標を教えてください。

木村 「トヨタのシミュレーション分野ならこの人に相談すれば大丈夫」と思われるような人になりたいですね。元々私がお世話になっていたトヨタ自動車の方がそのような存在だったので憧れがありますね。トヨタ自動車のモビリティ開発を支えるだけではなく、加速させるような存在になりたいです。

野村 私も木村さんと似ていて、トヨタのシミュレーション分野になくてはならない存在を目指したいと思っています。そして将来的には、トヨタという枠を超えて、業界全体でシミュレーション分野の進化に貢献できるようになっていけると最高ですね。

お二人にはトヨタ自動車のシミュレーション分野における新たな挑戦である、ギガキャストのシミュレーション実用化プロジェクトについてお伺いしました。新たなチャレンジを行う上での苦悩と、その解決プロセスを知ることができました。今回の記事を通して、求職者の皆さまにトヨタシステムズのエンジニアの魅力が伝われば幸いです。

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※取材記事・部署名は当時のものです

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