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INTERVIEWS

トヨタ自動車の車両開発を支える、 次世代PLMシステム「TERRACE」の展開。 トヨタ自動車の車両開発を 支える、次世代PLMシステム 「TERRACE」の展開。

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トヨタ自動車の車両開発を支える次世代PLMシステム「TERRACE(テラス)※」の展開プロジェクトを牽引する2名の社員にインタビューを実施。7年に及ぶプロジェクトの詳細と、トヨタシステムズならではの強みについてお話を伺いました。自動車業界の激しい競争の中で、いかに効率的に高品質な車両を開発するか。その鍵を握るPLMシステムの全貌に迫ります。
(※)最新の車両CADデータや属性情報を管理し、ALLトヨタで共有、活用することで、業務改革を支援

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櫻本 竜也 / プロジェクトマネージャ / 2009年入社
PLM・CAD本部 PLM展開推進部
データマネジメントグループ

2009年にトヨタシステムズへ新卒入社。大学ではCGやCADに関する研究に従事し、その経験を活かせる環境を求めてトヨタシステムズを選択。入社後は一貫して車両開発に関わるCADデータ管理を担当。具体的には、設計部署が作成したCADデータを収集・整理し、評価部署へ提供する橋渡し役として活躍。デジタル技術を駆使した車両評価プロセスの効率化に貢献している。

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南谷 清和 / プロジェクトマネージャ / 2003年入社
PLM・CAD本部 PLM展開推進部

機械工学科出身。学生時代から自動車への強い関心を持ち、卒業後は部品メーカーで設計業務に従事。その後、より効率的な設計環境を追求するため2003年にトヨタシステムズへキャリア入社。現在はPLM(製品ライフサイクル管理)システムの開発・運用に携わり、膨大な車両データの一元管理と効率的な共有を実現するプロジェクトを推進。自動車設計の経験を活かし、設計者の業務効率化と職場環境の改善に尽力している。

CHAPTER 01 車両開発の効率化と品質向上を目指す、TERRACEプロジェクト

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まずは、TERRACEプロジェクトが立ち上がった経緯についてお聞かせください。

櫻本 従来のシステム「Ceisar(シーザー)」では、単品の部品CADデータ管理はできていましたが、車両全体として1台分のデータを管理することが難しかったのです。

南谷 そうですね。Ceisarでは各部署がデータをダウンロードして使用していたため、データ収集作業が重複していたり、コピーデータが流通していました。

具体的にどのような点が改善されたのでしょうか?

櫻本 例えば、Ceisarでは私がダウンロードしたデータと南谷がダウンロードしたデータが別々のコピーになってしまい、一方が更新しても他方に反映されませんでした。TERRACEでは、リンクで共有するので、常に最新のデータを全員が見られるようになりました。さらに、データの変更履歴も管理できるので、設計変更の経緯を正確に把握できるようになりました。

南谷 また、トヨタ自動車の社内だけでなく、仕入先とのデータ共有も容易になりました。以前は定期的にデータを送付する必要がありましたが、今では同じシステム上でリアルタイムに情報を共有できます。これにより、設計変更に伴う調整作業のスピードが上がり、開発期間の短縮に大きく貢献しています。

プロジェクトの目的は何だったのでしょうか?

南谷 車両開発の効率化と品質向上です。常に最新のマスターデータを見ながら社内外で協業することでやり直しを減らし、開発期間の短縮に繋がります。また、データの一元管理により、ミスも減らすことができます。

CHAPTER 02 グローバルでのユーザーを想い、プロジェクトを推進

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プロジェクトの規模について教えてください。

櫻本 2017年頃から本格的に始動し、今年2024年末でCeisarを完全にクローズしてTERRACEへの移行を完了する予定です。約7年間のプロジェクトですね。この間、段階的にシステムを展開しながら、常にユーザーの声を聞き、改善を重ねてきました。

南谷 人員規模でいうと、トヨタシステムズだけで約150人が関わっています。さらに、協力会社やベンダーも含めると、その3〜4倍の人数になるでしょう。また、このプロジェクトの特徴として、トヨタ自動車の社員との密接な協働があります。システム開発者だけでなく、実際にシステムを使う設計者や生産技術者の意見を積極的に取り入れながら開発を進めてきました。

櫻本 トヨタ自動車のみならず、トヨタの車体メーカーやグローバル拠点にも展開しています。北米、欧州、アジアなど、世界中のトヨタの開発・生産拠点でTERRACEを使っていただく予定です。各地域の特性や要件に合わせてカスタマイズする必要があり、言語対応はもちろん、各国の法規制や業界標準に合わせたデータ管理機能の追加など、きめ細かな対応を行っています。

お二人の役割について詳しく教えてください。

櫻本 私たちの部署は、TERRACEの展開と運用を担当しています。具体的には、各プロジェクトへのシステム導入や、ユーザーへの使い方の説明、データの収集・管理などを行っています。特に重要なのは、システムの導入がスムーズに行われ、ユーザーが効果的に活用できるようサポートすることです。

南谷 車両開発の変化に合わせて、TERRACEの活用方法を考えていく役割です。例えば、設計と後工程が協業しやすいシステム環境や運用を構築し、電気自動車(BEV)の開発で支援しています。

CHAPTER 03 膨大な要件を1冊のルールブックに集約

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プロジェクトを進める上で、特に苦労した点はありますか?

櫻本 トヨタ自動車には多くの部署があり、それぞれに異なる要件がありました。例えば、必要なデータの粒度や形式、タイミングが部署によって違います。これらの要件をいかに集約し、標準的なプロセスをつくり上げていくかが大きな課題でした。

南谷 私が感じた課題は、運用の徹底です。トヨタ自動車は大企業で、関係する仕入先の方も多く、人の入れ替わりも激しい。そんな中で、新しいシステムの運用ルールをいかに浸透させるかが難しかったですね。

その課題をどのように解決していったのでしょうか?

櫻本 運用要領書、いわゆるルールブックを作成しました。約110ページにわたる詳細なマニュアルで、車両開発の各段階でどのようにTERRACEを使うべきかを細かく規定しています。これを基に、各プロジェクトに展開していきました。ルールブックの作成にあたっては、各部署の代表者と何度も議論を重ねました。「この部署ではこういうデータが必要」「このタイミングでこの情報が欲しい」といった具体的な要望を丁寧に拾い上げ、可能な限り反映させています。

南谷 運用面では、現場に張り付いてサポートすることもありました。また、ユーザーの負担を減らすため、我々が黒子となってデータの調整や加工を行うこともあります。後工程の人が困らないよう、使いやすい形でデータを提供することを心がけています。特に導入初期は、各部署に「TERRACEサポーター」として専任のスタッフを配置しました。ユーザーからの質問や要望にリアルタイムで対応し、スムーズな移行をサポートしています。

プロジェクトを通じて、最もやりがいを感じた瞬間はありますか?

櫻本 2019年頃、ルールブックができて本格的に展開できるようになったときですね。それまでは個別対応の連続でしたが、ようやく標準的なプロセスで展開できるようになり、軌道に乗った実感がありました。ある新車開発プロジェクトでTERRACEを全面的に採用いただいたとき、設計変更の周知や承認プロセスが格段にスピードアップし、開発期間の短縮に繋がったという評価をいただきました。これらの成果が目に見える形で現れたとき、プロジェクトの意義を強く実感しました。

南谷 私は、後工程のユーザーから「助かった」「使いやすい」という声をいただいたときですね。我々の仕事が実際に役立っていると実感できて、非常に嬉しかったです。特に、ある海外拠点から「リアルタイムで最新データを確認でき、意思決定のスピードが大幅に向上した」という評価をいただいたときは、グローバル展開の意義を実感しました。

CHAPTER 04 モノづくり視点×システム開発で信頼を獲得する

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トヨタシステムズだからこそ、できたことはありますか?

櫻本 我々はユーザーに近い立場にいながら、すぐ隣に開発部署がいるという環境があります。ユーザーの声をすぐに開発にフィードバックし、迅速にカスタマイズできる。この開発と展開の両方を持っているのがトヨタシステムズの強みだと思います。また、トヨタグループの一員として、自動車産業特有の課題や文化を深く理解していることも大きな強みです。単なるIT企業ではなく、モノづくりの視点を持ちながらシステム開発ができる。これがユーザーからの信頼に繋がっていると感じています。

南谷 そうですね。我々はツールの提供だけでなく運用まで考えて、使える形でシステムを届け、その後もしっかりサポートする。ツールを定着させ、効果を出すところまで責任を持つ。それがトヨタシステムズの特徴だと思います。トヨタ自動車の様々な部署と日常的にコミュニケーションを取れる環境にあることも大きな利点です。例えば、新しい車両開発プロジェクトの立ち上げ時から参画し、どのようなデータ管理が必要になるか、事前に検討することができます。

最後に、今後トヨタシステムズに入社を考えている方へメッセージをお願いします。

櫻本 コミュニケーション能力が大切です。ユーザーと密に対話する機会が多いので、積極的に飛び込んでいける方が向いていると思います。また、クルマ好きで車両開発に興味がある方なら、知識を活かしながら仕事ができると思います。自動車業界は今、100年に一度の大変革期と言われています。電動化、自動運転、コネクティッド化など、新しい技術が次々と登場しています。こうした変化に柔軟に対応し、常に新しいことにチャレンジする意欲のある方を歓迎します。

南谷 私も同感です。自分の意見をしっかり持ち、それを伝えられる方が活躍できると思います。また、前職での知識や技術をすぐに業務に活かせるのも中途入社の強みですね。トヨタの車両開発により貢献したい、という意欲のある方をお待ちしています。

今回のインタビューを通じて、TERRACEプロジェクトの重要性と、トヨタシステムズの独自の強みが伝わってきました。トヨタ自動車の車両開発プロセス全体を変革し、グローバルな協業を促進する重要な取り組みだと言えるでしょう。今回のインタビューが、トヨタシステムズに興味を持つ多くの方々にとって、有益な情報となることを願っています。ありがとうございました。

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※取材記事・部署名は当時のものです

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