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INTERVIEWS

自動車部品の海上輸送に関わる 業務の可視化、効率化をアジャイル開発で ユーザーと一体になりながら実現する。 自動車部品の海上輸送に 関わる業務の可視化、効率化 をアジャイル開発でユーザーと 一体になりながら実現する。

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部品調達システム部に所属する若手社員2名にインタビューを実施。自動車部品の海上輸送が抱える問題をシステム開発によって可視化・効率化し解決をサポートするプロジェクトについてお伺いしました。

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栄徳 千夏 / システム開発エンジニア / 2020年入社
管理・製造IT本部 部品調達システム部
梱包・構内物流グループ

高専にて情報工学を学んだ後にトヨタシステムズへ新卒入社。入社後は部品調達システム部にて現場系システムの老朽化更新プロジェクトに参加。その後「海上輸送のDXプロジェクト」へアサインされる。

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山﨑 將史 / システム開発エンジニア / 2018年入社
管理・製造IT本部 部品調達システム部
梱包・構内物流グループ

大学院にて情報科学研究の修士課程を修了後、旧トヨタケーラムへ新卒入社。会社再編を経て、現在のトヨタシステムズの部品調達システム部に所属。「海上輸送のDXプロジェクト」では発足メンバーとしてアサインされる。

CHAPTER 01 海外工場への部品の海運・空運判断を高速化する

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まずはお2人が所属する部署の役割について教えてください。

山﨑 主に自動車部品の輸出入や船積み、そして工場での梱包作業などを効率化するシステムの開発・保守を行っています。

栄徳 その中でも私たち2人は海外に部品を輸出するための国内梱包工場で使われているシステムの開発・維持を担当しています。

部署のミッションとしてはどのようなものがありますか?

山﨑 トヨタ自動車・トヨタグループ会社における部品調達業務をシステムでサポートすることです。

栄徳 加えて、新たな技術を用いて、昨今課題になっている物流の社会問題に対しても貢献できる手立てはないか?などと考えることも私たちの仕事です。

2人が携わっているシステムについて具体的に教えてください。

山﨑 私たちが開発に携わったのは、自動車部品の海上輸送をDX化する現場の業務にフォーカスしたシステムです。

栄徳 山﨑さんはプロジェクトの発足から参加されていて、私は他のプロジェクトが終わったタイミングで途中から参加しました。

プロジェクト発足の背景について教えてください。

山﨑 まず前提として、クルマをつくる過程において、国内で生産した部品を海外の工場に輸出して現地で組み立てることがあります。その際、部品の輸送には比較的コストが安い船を使うのがメジャーです。ただ、飛行機と違って到着が2、3日遅れることは多々あり、事故などの大きなトラブルに巻き込まれると1ヶ月ほど遅れてしまうこともあります。そうした輸送の遅れは、生産に影響が出てしまうため安全を取って空輸での輸送判断をすることもあり、コストがかかってしまい課題となっていました。そこで「現在運航中の船がどこにあって、いつ到着予定なのか」をリアルタイムで把握し、不要なコストを抑えることができればというところが背景になります。

それまではリアルタイムで船の情報が分からなかったのですか?

栄徳 分かりはしたのですが、複数の船会社に問い合わせて位置を把握して、その情報をもとに遅延する日数を算出しなければいけませんでした。また、どの部品がどれくらい足りなくなるのかといったことを人力で計算する必要があり、とても苦労していました。

山﨑 それらの情報をリアルタイムで表示して担当者が迅速に意思決定できるようなシステムをつくることがゴールでした。

CHAPTER 02 積極的にアジャイル開発を取り入れる

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では、プロジェクトについて具体的に教えてください。

山﨑 今回のプロジェクトではアジャイル開発の中でもスクラムという手法に挑戦しました。時期によって若干の変動はありますが、基本6人の開発チームで動いていました。私たちに加えて協力会社の開発メンバーが2人、そしてスクラムマスターと呼ばれる弊社のマネージャーが1人。プロダクトオーナーと呼ばれるトヨタ自動車のユーザー側のメンバーが1人という体制でした。

開発チームにユーザーが入るのですか?

山﨑 はい、そこがスクラムの特徴の1つですね。今回で言うとトヨタ自動車の担当部署の方に入っていただきました。プロダクトオーナーは「製品に対する責任」を持つ役割になります。この役割はユーザが入るのが理想的です。

栄徳 ユーザーの声を色濃く反映できるので、最終的なアウトプットが要望とズレにくいという特徴があります。

スクラムという開発手法はどのように進めていくのですか?

山﨑 ウォーターフォール型だと、お客様の要望を聞いて要件を固めて、そのまま完成まで一気に進めます。しかし、スクラムでは、短いスパンでプロトタイプをつくり、ユーザーのフィードバックをもらいながら改善していくという工程を繰り返し行っていきます。その中で私は、開発チームのリーダーとして、メンバーの統括や、新技術のリサーチなどを担当していました。

栄徳 私は開発メンバーの一員として、テストなどを担当していました。そして、ゆくゆくはリーダーのポジションを引き継げるように知見を吸収するというテーマもありましたので、山﨑さんの仕事を見ながら、分からない部分は都度質問させてもらっていました。

今回スクラムの手法を採用した理由は何だったのですか?

山﨑 今後スタンダードになっていく開発手法であることと、それに対して経験がなかったため、知識の習得という点が大きかったと思います。急速な市況の変化によって、ユーザーの要望も変化していくという状況があります。そうした場合にも、スクラムだと2週間という短いスパンで「開発→フィードバック→改善」という流れを繰り返すことができるので、ユーザーの声を反映させることができます。

栄徳 変化の激しい時代にはアジャイル開発は適していると感じます。ユーザーと密にコミュニケーションが取れるので、求められているシステムが実現しやすいです。

CHAPTER 03 ユーザーの満足感とインパクトの大きさを実感

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2週間という1つの開発スパンの中ではどのようなことを行うのですか?

山﨑 まず前提として、スクラムではスプリントという開発のタームを繰り返していきます。今回1つのスプリントを2週間に設定しました。スプリント開始時に、期間内に各メンバーが何をやるのかを列挙したタスクリストを作成し、開発を進めます。そしてスプリントの最終日にユーザー側のメンバーにレビューをもらい、次のスプリントのタスクリストに追加する、ということを繰り返していきます。

栄徳 スプリントを進めるにつれて完成していく実際のシステム画面を見て、初めてユーザーの要望が顕在化されるという場面もありました。このようにして顧客のニーズが満たせるのはスクラムならではだと感じます。

プロジェクトの中で特に難しさを感じた部分はありましたか?

山﨑 私は開発が進む前段階において、データ収集の方法に頭を悩ませました。というのも、船がどこにいて、どのような荷物を積んでいて、どこに向かっているのかという情報を各船会社から取得する必要がありました。しかし、各社から送られてくるデータのレイアウトやフォーマットがバラバラで、受け取ってから我々が手作業で整えるのには工数がかかりすぎるという懸念がありました。これに対しては、結果的にデータのプロバイダーさんと契約を結んで我々と船会社の間に入ってもらい、データを整えてもらうという対応を取ることで問題を解決することができました。

栄徳 私はプロジェクトに途中から参加したので、情報のキャッチアップに苦労しました。既存メンバーとの知識の差を埋めながらも、毎日のタスクを行わなければならない状況はなかなかハードでしたが、リーダーである山﨑さんが親身にサポートしてくれたおかげで、他のメンバーに追いつくことができました。特にユーザーの業務に対してどのようにシステムが機能して、どのようなロジックでそのシステムが実装されているのかという部分を勉強するのに注力しました。

では反対に、プロジェクトの中でやりがいを感じたのはどのような瞬間でしょうか。

山﨑 ユーザーと強い信頼関係をつくれたときです。これはアジャイル開発ならではだと思います。開発期間中はユーザーと毎日コミュニケーションを取るので、顧客でありながら「一緒にシステムをつくる仲間」という意識になります。開発が一段落したタイミングでは、ユーザーの担当者の方とご飯に行くほど仲良くなっていました。

栄徳 アジャイル開発ならではのメリットに触れることができた点が魅力的でした。完成したシステムをすぐに自分たちで触ることができたり、ユーザーからすぐにフィードバックがもらえたりと、今まで経験したことがないようなスピード感で仕事ができたのはとてもいい経験でした。

プロジェクトの成果はどうでしたか?

山﨑 現在、開発は一段落して検証のフェーズに入っています。まだ完成しているわけではないので海上輸送業務に劇的な変化が出ているわけではありません。ですが、アウトプットとして出てくる各種数値や、グラフなどのデータの精度が高く、ユーザーからは「意思決定が早くなった」と上々の評価をいただいています。システムが完成すれば、大幅な業務効率化やコストカットに繋がるため、大きなインパクトが生まれます。そうした未来を楽しみにしながら完成に向けての調整を進めていきたいです。

CHAPTER 04 自らのチャレンジを後押ししてくれる環境

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普段の業務の中で「トヨタシステムズならではの魅力」を感じるのはどんなときですか?

山﨑 トヨタ自動車の社員の方の考え方をダイレクトに感じることができる点は、トヨタシステムズのエンジニアならではの魅力かなと思います。プロジェクトによって様々な部署の方とお仕事をご一緒するのですが、製造現場でバリバリ働かれているような方だと、「一分一秒をどう短縮するか」ということをストイックに考えています。一方で、生産計画を立てるような部署の方だと数年先まで見通してお仕事をされています。そういったトヨタ自動車の業務に対して、トヨタの一員としてシステムで貢献できることに魅力を感じます。

栄徳 今回のプロジェクトもそうですが、成長する機会を与えつつ親身に支えてくれるメンバーがいる風通しの良い社風だなと感じています。特に今回は私にとって海上輸送プロジェクトに途中から参加するということは大きな挑戦でしたが、その分手厚いフォローがあったことが印象的でした。開発面では有識者と初心者が2人でペアを組んで集中的にプログラミングをする「ペアプログラミング」という進め方を取ってくださいました。この手法だと一緒にコードを書きながら、逐一レビューをもらって疑問点をすぐに解消することができるので、知識のギャップを埋めるのに本当に役に立ちました。今後プロジェクトのリーダーを担ってほしいという期待をかけていただいているので、リソースを割いていただき、非常にありがたかったです。

早いうちから独り立ちさせようという雰囲気が強いのでしょうか。

山﨑 独り立ちをするため、色々なことにチャレンジできる環境が整っていると思います。実際に私は6年目で今回のようなシステム開発プロジェクトのリーダーを任せてもらっています。また栄徳にも早くリーダーとして活躍してもらいたいので、集中的に知見を共有しています。今回プロジェクトを通して感じたのは「自分の決断」をとても重視されたことです。上司に自分の考えを共有し、自分の決断のフィードバックをもらうことで、「何を見て、どう動くのか」という上位層の思想にはやく触れることができたと思っています。

栄徳 確かにベテランとか若手とか関係なく「自分の意見」を考えて発信する雰囲気はあります。自分なりに考えて、より良い方法はないか?という提案を出しやすい社風だと思います。また起こった事柄に対して「なぜ?」という疑問を持ち、原因の分析の振り返りを行い、次に繋げることを大切にしています。こうしたトヨタグループならではの改善マインドをベースにして若手がのびのびと活躍し、成長しやすい環境なのはとてもありがたいです。

自ら考えて発信できるようになろうという会社の風土が感じられますね。ここまで様々なエピソードを聞かせていただきありがとうございました。お2人にはトヨタシステムズの海上輸送に関わるシステム開発部門でどのようなプロジェクトが推進されているのかを詳しくお伺いしました。アジャイル開発を積極的に取り入れながら、ユーザーと近い距離で、インパクトの大きい開発に携われるということがよく分かりました。

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※取材記事・部署名は当時のものです

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