異業界出身者の活躍

およそ10cm×7cm角の
緑の板に1,000点以上の
部品をマウントする。
「AIの時代のSSDのつくり方」

SSD事業部 生産技術担当

エンタープライズ及びデータセンター向けのSSDは、AIの時代を支える最先端のデータストレージ製品。基板試作から海外での生産立ち上げ、世界市場への出荷まで、量産化を先頭に立って率いる生産技術エンジニアにキオクシアならではのものづくりのリアルを語ってもらった。

プロフィール

2023年入社
SSD事業部 生産技術担当

徳島県出身。大学では電気・電子専攻。前職では非鉄金属業界の大手メーカーに勤務し、スマートフォン向けフレキシブルプリント基板の製品設計と生産技術を担当。40代に差しかかろうとするタイミングを機に、より将来性の高いものづくりでキャリアアップを目指したいと考えてキオクシアに入社。

スマホ部品のコモディティ化を身に沁みて体験したことから、世界市場で勝てるSSDに着目。

最初に、転職に踏み切った理由を聞かせてください。

前職の在籍期間、特に2010年代初頭から中頃にかけては、スマートフォンが急速に発展し、全世界で普及が進んだ時代でした。私は入社後、スマホの電子回路の中核を担うフレキシブルプリント基板(FPC)の部門に配属され、製品設計に携わりました。当初は日本のメーカーが技術的に優位で、スマホの進化に応じたFPCを提供することでシェアを拡大できました。やりがいがあり、充実した日々を過ごしていましたが、中国や台湾のメーカーの技術力が急速に追いついてきて、いつの間にかコモディティ化が進んでしまいました。とりわけ私は転職前の5年半ほど、タイの工場に駐在して量産の前線に立っていたので、価格競争による消耗戦の激化を肌で感じ、危機感を抱くようになりました。将来への不安や多忙な業務によって家族との時間を削らざるを得ない状況が身に沁み、転職を考えるようになりました。

転職活動では「世界市場で勝てる技術・製品」にフォーカスしました。前職で培ったスキル・経験をベースに、一層のキャリアアップを望める業務に就きたいと思い、業界を絞らずにリサーチを進めました。結果的に、AI関連の技術・製品に将来性があると感じ、キオクシアがAI向けのエンタープライズ・データセンター用SSDに注力していることに注目しました。また、生成AIに不可欠な超大容量ストレージや次世代ストレージクラスメモリの製品化でも先行していることを知り、応募を決めました。

自分が関わった最新のシリーズがWebサイトの製品ページでいちばんに紹介されている。

入社後、どのような職務にアサインされましたか?

SSD新製品の量産立ち上げをメインに担当してきました。エンタープライズストレージやデータセンター向けのハイエンドモデルの生産技術です。フラッシュメモリ、コントローラー、DRAMの各チップと関連部品をマウントしたプリント回路基板(PCB)を筐体に収めた製品で、

  • 1)横浜テクノロジーキャンパスのパイロットラインで基板表面に部品を実装してPCBを試作。評価・改善を繰り返し、適切な製造プロセスを確定。
  • 2)フィリピンの協力工場のラインに展開し、問題点の解決を図りながら、製品化を推進。
  • 3)社内認定会の承認を得たうえで、量産を立ち上げて世界市場に出荷する。

といったワークフローです。並行して、表面実装に関する新規要素技術の開発、フィリピン工場の生産性向上と品質改善活動などの業務も、部署のメンバーと協力して遂行しました。

前職のスキル・経験は、どれくらい活かせていますか?

FPCの製造工程で表面実装技術を活用した経験が、非常に役立っています。ただ、前職では基板1枚に4~5種類の部品を実装すれば良かったのに対し、エンタープライズ・データセンターSSDは部品数がはるかに多くて、2.5インチサイズの場合、縦10cm・横7cmほどの緑色の基板1枚に1,000点以上の部品をマウントしなければなりません。スケールがまるで違うので、「難しくて大変そうだ」と感じた反面、「挑む壁が高ければ、それだけスキルと経験を磨きながら成長できる。転職して正解だった」とモチベーションが高まりました。

頑張ってチャレンジを続けた結果、自分が関わった「KIOXIA CM7シリーズ」が完成。当社WebサイトのエンタープライズSSDのページで、ラインアップのトップに紹介されました。今後も、新製品をリリースするたびに、世の中に広く発表されると思うと、ますます意欲が湧いてきます。

取り組むべきテーマや課題が尽きないのは、言い換えれば「伸びしろが大きい」ということ。

他には、どのような案件に携わっていますか?

近年、SSDの大容量化が重要なテーマとなっており、3D構造で積層数を増やしたフラッシュメモリを採用した製品や、部品実装点数の多い製品が増えています。一方でSSDの筐体サイズには制約があることから、限られたスペースに部品を実装するための高密度実装技術の開発に注力しています。さらにデータセンターやエンタープライズ向け製品では高い信頼性が求められるため、部品の信頼性を担保するための樹脂開発にも取り組んでいます。

自動化も大きなテーマです。工程が複雑な分、工場ではマニュアルの作業が残っているため、ロボット化や検査の自動化など、新規装置の導入やラインの高度化を進めていこうと、部署全体でアプローチをしています。

海外協力工場のメンバーとのコミュニケーションも重要です。生産技術というと、製品や機械や工場が対象だと思われがちですが、ものづくりの担い手はあくまでも人です。現場のエンジニアやオペレーターが、私たちの意図を理解して活動してもらえるよう、日常的には電話会議で、時には現地に赴いて、スタッフとの意思疎通に努めています。もちろん、前職の海外工場勤務の経験が役立っていることは、言うまでもありません。

他にもさまざまな取り組みを進めていますが、だからこそ将来性にあふれていると、私はポジティブに捉えています。テーマや課題が尽きないのは、成長の可能性があることの証しだと思うからです。現にエンタープライズ・データセンターSSD部門は順調に売り上げを伸ばしており、世界的にビッグネームのお客様がAIやクラウドのホットなサービスにSSDを使われているというニュースも耳に入ってきます。前向きな話題が多いので、誰もが誇りを持って取り組むことができるというのが、私の締めくくりのメッセージです。

※本記事は取材時点の情報であり、最新の情報とは異なる場合があります。(取材日:2025年8月)